彼女と、彼女の好きなホーエンと、その子どもと。
それから、彼女が好きだといった、この国と--。
その感情が、愛というものなのだと、
ロカは産まれて初めて知ったのだった。
わずかの切なさと共に。
ヴェローナの望みを全てかなえるためには、自分が出て行くのが最も簡単だと思った。
・・俺がいては、ホーエンとこっそり会うこともできないしな。
ほんとは正妃にしてやりたかったのに、お前はそれだけは嫌だって言うしなぁ。
ま、ニュクスの立場もあるし、ちょうど良かったのか。
ロカは、静かに瞳を閉じた。
白い波が次々に浮かんでは、消えて行く。


