傷ついた?
ロカはますます訳が分からず、首をひねる。
『傷ついたのはお前だろう?』
ロカの言葉を、少女は即座に否定した。
『いいえ!
ホーエンは・・・、あの人は、私よりもずっと傷ついているはずです。
私にはわかります。あの人は、とても優しいから。
私が拒絶したことに傷ついて。
だから、苦しくてこんなことになって。
そして今頃、自分がした事を後悔して、さらに深く傷ついているはずなんです』
少女はぽろぽろと涙を落とすと、ロカの前にひれ伏した。
『私は、これ以上彼を傷つけたくありません。
大事な幼馴染なんです。
どうぞ、後生です。
私を、磔にして下さい』


