ロカは船の上で揺られながら、海上を飛ぶかもめに目をやった。 晴天。 太陽の光が反射して、白がまぶしい。 接岸する予定の岬を眺めながら、ロカは一度は捨てた故郷に思いをはせていた。 *** 『私を、磔(はりつけ)の刑に処してください!』 ロカが王だと知った瞬間に、少女は涙を浮かべて懇願した。 『どうか、お願いでございます。 さきほどの私の話は全て忘れて、私を磔にして下さい!』