少年の瞳が大きく開かれると、よりいっそう力強く輝いた。
「すごいや、お父様!頑張って!」
尊敬のまなざしを向けると、父は、よく見とけよ、と言って、
空へと飛翔した。
***
「それで王は、いいえ、お父様は木から落ちたというわけなの?」
少年の小さな顎が、こくりと下に動く。
二人の妃はお互いに目を合わせると、美しい瞳で瞬時に会話を交わし、ため息を落とした。
・・あの、馬鹿男。
ニュクスは額に手をあて、悪い夢でも見ているという風に頭を振る。
シャラン、と音がして、彼女の首にある見事な首飾りが涼やかな音をたてた。
「お母たま~」
大人の事情など知るはずもない、母親譲りの金の髪をした少女が、
舌足らずに母を呼びながら寄って来て、ニュクスの膝に乗ろうと試みる。


