それに、と言葉を繋いで、ロカは腰に佩いている剣の柄を手に取り、わずかに剣を持ちあげる。
刀身の鈍い光に、アニウスは思わず目を眇めた。
『例えばカークスに何かあった場合、
その跡を継ぐのは、お前だろう?』
ロカが意味深に唇をすぼめて、ふん、と鼻を鳴らす。
・・こいつ、まさか父のやった事に気づいているのか!?
アニウスは尋常でないほど鼓動が脈動するのを感じた。
『何か、とはなんでございましょう』
『ん?そうだな。例えばカークスが病気になった場合、行方しれずになった場合、
それから』
そこで話を区切ると、ロカは再び剣を鞘に収める。
『犯罪者として処罰された場合、とかな』
ガチャリと、剣のたてる不気味な音が、アニウスの鼓膜を打ち鳴らし、
アニウスは、雷に打たれたようにびりびりと身震いがした。


