帰り際、マリに声をかけられた。


「絵里奈」


かわいく手を振る彼女。


「明日、行くんだって?」

「うん」

「そっか。寂しくなるね」


マリとコータくんは、同じ大学に進学すると聞いた。


「絵里奈に会えて、良かった」

「マリ…」

「また、遊ぼうね」

「うん…ありがとう」


マリの後ろ姿に、少し寂しくなった。

教室に戻り、机にそっと触れる。


「今日まで、ありがとう」


呟いた言葉は、静かな教室に響いた。



−−−−−……



「絵里ちゃん」


リビングから、ママの声が聞こえる。


「チカちゃん達、もう外で待ってるわよ」