「もうすぐ、バレンタインだね」


あれから数日経った昼休み、チカはそう言って雑誌を広げる。


「そうだね」


結局チカは、私の涙の理由をしつこくは聞いてこなかった。

口に出したら、きっともっと不安になるから、私も言えないでいるのだけれど。


「何あげようかなぁ」


ミっくんを想いながら、そんな事を呟くチカを、素直にかわいいと思う。


「絵里奈は、シュンくんに何あげるの?」

「んー、やっぱチョコかな」

「てか、一緒に作んない?」


そんなチカの言葉から、前日にうちの家でチョコレートケーキを作る事になった。

ミサキちゃんも、シュンくんにあげるのだろうか。

そう考えると、胸が痛い。