クリスマスの観覧車はどういうわけか激しく混雑しており、二時間ほど並んだ。
普段は並ばなくても乗れるような小さなテーマパークも、この日は大盛況。
順番待ちをしている大半のカップルは、赤い鼻や手をこすりあって、それはそれは幸せそうだ。
俺とは正反対に。
迫りくる恐怖に、いかにして平常心を保つべきか。
悶々と悩んでいるのに気づいてくれないカノジョは、さらに追い討ちをかける。
「じゃーん」
嬉しそうに出したのは、平べったいコイン。
「なに?ゲーセン?」
「ちがうよ!最近流行ってるんだ、このコインチョコ」
昔からある、あのコインを似せたチョコだ。
「でも普通のとはちがうのォ」
むふふ、と意味ありげに笑い、黒々としたまつげをぱっちりと見開く。
「観覧車のてっぺんでね、端っこ同士をくわえてお祈りするの!」
そんな何気ないカノジョの一言は、断崖絶壁へと立たされた気分にさせる。
嬉しそうなカノジョには申し訳ないが、そんなことをしている余裕なんて、毛頭ないのだ。
「楽しみだね!」
ちなみにその後、だが。
俺は、自分の弱さを口にすることができず、震える足でただ彼女のあとに続く。
ようやく乗り込んだものの。
カノジョはきらきら輝く町並みに感激していたが、俺の体は恐怖でかちかちに固まっていた。
正直、それどころじゃあなかった。
普段は並ばなくても乗れるような小さなテーマパークも、この日は大盛況。
順番待ちをしている大半のカップルは、赤い鼻や手をこすりあって、それはそれは幸せそうだ。
俺とは正反対に。
迫りくる恐怖に、いかにして平常心を保つべきか。
悶々と悩んでいるのに気づいてくれないカノジョは、さらに追い討ちをかける。
「じゃーん」
嬉しそうに出したのは、平べったいコイン。
「なに?ゲーセン?」
「ちがうよ!最近流行ってるんだ、このコインチョコ」
昔からある、あのコインを似せたチョコだ。
「でも普通のとはちがうのォ」
むふふ、と意味ありげに笑い、黒々としたまつげをぱっちりと見開く。
「観覧車のてっぺんでね、端っこ同士をくわえてお祈りするの!」
そんな何気ないカノジョの一言は、断崖絶壁へと立たされた気分にさせる。
嬉しそうなカノジョには申し訳ないが、そんなことをしている余裕なんて、毛頭ないのだ。
「楽しみだね!」
ちなみにその後、だが。
俺は、自分の弱さを口にすることができず、震える足でただ彼女のあとに続く。
ようやく乗り込んだものの。
カノジョはきらきら輝く町並みに感激していたが、俺の体は恐怖でかちかちに固まっていた。
正直、それどころじゃあなかった。


