粉雪-3年後のクリスマス-

 恥じらいながら、震えた声も。


『ユキくん……大好き』



“彼”にも。

そして、


「コナカユキトくんは、もう……」


 ───この、俺にも。



 顔を背けると、じんわりと地面にしみこんでいく雪。

その続きを口にするのが、怖かった。



「ユキくん、死んでるんでしょう?」


 だから、彼女から発せられた言葉を信じられなかった。


「……え?」

 思わず顔を上げると、困ったように笑う彼女。

寒さのせいなのか、鼻も頬も真っ赤に染まっていた。

「ちゃんと知ってるから」

 寂しげに口を開き、つま先を俺の横に向けてゆっくりと歩き始めた。


「ユキくんとはね、インターネットで知り合ったの。 地味で暗い私を、いつも励ましてくれてた」

 俺には未知の世界だ。

賛美歌のような彼女の声音が、不思議と心地よかった。


「私には夢があった。けれどこの国では無理だった……」


 だから、国際電話だったのか。

次第に戻る感覚に、ポケットにある携帯電話に表示された番号を思い出した。