粉雪-3年後のクリスマス-

 シンシンと降り続ける雪。

暗い道を足元に気をつけながら、シンボルともいえる大観覧車に到着した。


 闇で覆われるアトラクションは、お化け屋敷なんて目じゃないほど恐怖すら感じる。


「…はあ、…誰もいない……?」


 目を凝らしながら、辺りを見回してみるものの人気がない。


 もしかして、彼女も知ったのだろうか。


“彼”が、もういないことに───



 腕時計のライトをつけて時刻を確認する。

秒針が、ちくたくと進み、長針と短針とすべて重なった。



「……所詮、間違いか…」

 そう思って振り向いたときだった。



「───ユキくん?」



 懐中電灯を片手に背の小さな女の子が、現れた。



 知らないけれど、知っている。


君の声が、何度も頭で繰り返された。



「やっと……会えた…」



 俺の、本音だった。


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