コートを片手に店を飛び出た。
久々に訪れたホワイトクリスマスに、街は活気付いていた。
見上げる人々の隙間を縫うように走り、約束の場所へと向かう。
見えない糸が、少しずつ俺を引き寄せる。
「はぁ…はあ…っ…!」
白い息は大きく輪を描き、夜空に溶けていく。
大観覧車。
それは、今はもう閉鎖してしまった遊園地。
最近できたテーマパークに客を奪われ、来場客は減る一方だった。
そして、あの名物だった大観覧車でさえももう手が出せなかったらしい。
閉めたはいいが、それを取り壊す資金もなく、そのまま閉園を迎えた遊園地は錆びるのをまつだけと化した。
昔はライトアップされていたショーの舞台。
人が賑わっていたはずの売店。
遠くまで見回せていた、その大観覧車。
「…はぁ、はあ……っ!」
地面に溶けていく雪を踏みしめ、辿り着いた目の前は真っ暗闇がそびえていた。
血の味がする口元をぬぐい、フェンスをよじ登る。
時刻は、まもなく0時を迎えようとしていた。
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久々に訪れたホワイトクリスマスに、街は活気付いていた。
見上げる人々の隙間を縫うように走り、約束の場所へと向かう。
見えない糸が、少しずつ俺を引き寄せる。
「はぁ…はあ…っ…!」
白い息は大きく輪を描き、夜空に溶けていく。
大観覧車。
それは、今はもう閉鎖してしまった遊園地。
最近できたテーマパークに客を奪われ、来場客は減る一方だった。
そして、あの名物だった大観覧車でさえももう手が出せなかったらしい。
閉めたはいいが、それを取り壊す資金もなく、そのまま閉園を迎えた遊園地は錆びるのをまつだけと化した。
昔はライトアップされていたショーの舞台。
人が賑わっていたはずの売店。
遠くまで見回せていた、その大観覧車。
「…はぁ、はあ……っ!」
地面に溶けていく雪を踏みしめ、辿り着いた目の前は真っ暗闇がそびえていた。
血の味がする口元をぬぐい、フェンスをよじ登る。
時刻は、まもなく0時を迎えようとしていた。
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