粉雪-3年後のクリスマス-

「な、なんでもないから……ホント…」


 俺のいいわけみたいな言葉に、女の子たちも不安がっている。

でも同期はひるむことなく、俺の肩を揺さぶる。


「ユキ!お前しかできないことなんだろう!?」


 荒げた声は、切なくも耳をこだまする。

いつだって、同期は俺の不安を後押ししてくれた。


 間違い電話が来たときも。

 先輩に告白されたときも。


そして、この今でさえも。


「しっかりしろ、ユキ!」


 窓の向こうは白い雪が誘惑的に舞っている。


『今度のクリスマス、ようやく会えるの』


 震える声は、期待と嬉しさで溢れていた。

見たこともない君だけど。

それでも俺は、悲しい顔をさせたいわけじゃないんだ。



『ユキくん……大好き』


「……ユキ!!」


 脳内で響く彼女の声と、同期の声が重なった。



 カノジョにフラれて未練ばかりな俺だけど。

 先輩に告白されて考えることもしなかったけど。



「ごめん、俺……帰る…!」

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