俺の有無を言わさない雰囲気に負けたのか、同期もため息をつく。
そして大学生の女の子も、ようやく頭を動かせてくれ、俺の告げた名前を繰り返した。
「こなか、ゆきと?」
「えー?聞いたことある?」
もう一人の女の子は面倒くさそうに答え、張り詰めていた空気がほんのり壊れた。
……そりゃ、学部が違えばわかるわけないか。
俺も大学を出ているのだから、その答えはわからなくはない。
「変なこと聞いてゴ──」
ごめんね、と言おうとした、その瞬間だった。
「あ、コナカユキトってあれじゃない?」
とっさに腕をつかんでしまった女の子が、思い出したように小首をかしげる。
その隣の女の子の顔を覗き込んだ。
「ほら。病気か怪我かなんかで単位足りなくて留年したっていう…」
「あぁ、そんな名前だったかもねー」
相変わらずもう一人の女の子の顔は引きつっている。
場をすっかり盛り下げてしまった合コン。
ずっと黙っていた失恋直後と紹介された俺が、急に興奮し始めたのだ。
無理もない。
けれどここまで近づいた情報に、俺はもう引き下がれない。
「そ、その人、どこにいるかわかる!?」
ドクドクと血が流れる音が響くようだった。
周りは驚いていたけど、関係ない。
たった一つの、約束を果たしたいだけだ。
そして大学生の女の子も、ようやく頭を動かせてくれ、俺の告げた名前を繰り返した。
「こなか、ゆきと?」
「えー?聞いたことある?」
もう一人の女の子は面倒くさそうに答え、張り詰めていた空気がほんのり壊れた。
……そりゃ、学部が違えばわかるわけないか。
俺も大学を出ているのだから、その答えはわからなくはない。
「変なこと聞いてゴ──」
ごめんね、と言おうとした、その瞬間だった。
「あ、コナカユキトってあれじゃない?」
とっさに腕をつかんでしまった女の子が、思い出したように小首をかしげる。
その隣の女の子の顔を覗き込んだ。
「ほら。病気か怪我かなんかで単位足りなくて留年したっていう…」
「あぁ、そんな名前だったかもねー」
相変わらずもう一人の女の子の顔は引きつっている。
場をすっかり盛り下げてしまった合コン。
ずっと黙っていた失恋直後と紹介された俺が、急に興奮し始めたのだ。
無理もない。
けれどここまで近づいた情報に、俺はもう引き下がれない。
「そ、その人、どこにいるかわかる!?」
ドクドクと血が流れる音が響くようだった。
周りは驚いていたけど、関係ない。
たった一つの、約束を果たしたいだけだ。


