粉雪-3年後のクリスマス-

 宴も進み、大分酒が回り始めていた。

あの同期による余計な紹介のおかげで、女の子たちは俺に対して壁を作っているのが丸わかりだった。

あんなこといわれたら「がっついてます」といっているようなもんだ。


 迷惑極まりないヤツだ。

しかし今はそういった気分じゃないから、それそれでよかったのかもしれない。


そんな中、盛り上がっている一角の会話が聞こえてきた。


「あれ?いくつだっけ?」

「そこの大学の三年生ですー」


 ───え?

 さっき大学生と名乗った女の子たち。

同期の地元の友達といっていた男二人に囲まれていた。


「就活中でぇ……」

「ねえ、君たち“コナカユキト”って知らない?」


 髪を耳にかける女の子の腕を、夢中になってつかんでいた。


「……は?」

 きょとんとする女の子の瞳はどこかカノジョに似ていた。

けれど、落ち込むよりもさきに、俺は頭がいっぱいだった。


 『彼女』に、少しでも……。


 空気を察した同期がやってきて、つかんでいた俺の手をゆっくり解く。

「ちょっと、ユキ!いきなりナニ──…」

「同じ学校……いや、近くの大学かもしれない。
“コナカユキト”って子、しらない?」

 同期の顔なんて見れなかった。

ただ目の前の女の子の、情報が知りたかった。