粉雪-3年後のクリスマス-

 冬風に身を寄せ合いながら、安すぎない店に集まった参加者は幅広かった。

同期の昔馴染みから大学の友人。

さらには取引先の元担当者だったりと、交友範囲の広さが際立つ。



「こんにちは」

 そういってにっこりと笑ったのは同期の恋人で、女の子側の幹事だ。


「あなたがユキくんでしょ? いつもうちのバカがお世話になってます」

「え、いや、そんな……俺のほうが──」

 しっかりしてそうな女の子で、同期が尻に敷かれているのがすぐ見て取れた。


「あのバカにはそういう謙虚さがないから、ユキくんがうらやましいな」

「……それがあいつのいいとこだよ」

 皮肉交じりの言葉に、俺も笑いをこぼす。

そんな俺の隣で、微笑んだ。


「これからも、あのバカのことよろしくね?」

「こちらこそ」

 俺の表情を確認し、そのまま背中を向けて他の女の子たちへと走り出した。

途中、振り向いて意地悪く笑う。


それは、同期そっくりだった。


「今日は楽しんでいってね!大失恋した後は、やっぱ新しい恋だよ!」


 ───あんにゃろう!
ベラベラしゃべりやがって!


「恋って、いいよ」

「………」


 はにかむその言葉に、素直に頷けなかった。

何もない手のひらを見ては、虚しくなる一方で。


 カノジョもそう思ってくれただろうか。


少なくとも、今の俺にはそうは思えなかった……。


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