「ありがとな、ユキ」
あれから収穫がないまま、二十四日を迎えた。
結局、同期の面子なども考えて来てしまった俺。
彼女の待ち人が住んでいたという町に程近かい居酒屋前で、これから合コンだ。
これでも待ち合わせ時間前に、近くの大学周辺を歩いてきたところだ。
もちろん、なにもわかることはないけれど。
「先輩から連絡きたら、優先していいから」
同期はそれだけ言って、他の参加者たちの元へと戻る。
俺は、朝から時間が迫っていることにうなだれていた。
『二十五日0時、大観覧車の下で』
あの約束は、あと数時間後だ。
そんな内心とは裏腹にそわそわする社内で、退社前に先輩とばったりと会ってしまった。
あの告白を保留にしてからほとんど会話もできてなくて、突然の出来事に言葉を失う。
「…──なんかあったら、電話して?」
決して、自分の欲を口にせず、先輩はただふと目を伏せて寂しげに笑っていた。
俺という人間が、何をできるというのか。
罪悪感をまたひとつ、積み上げるだけだった。
見上げた空は今にも雪が降りそうなほど、分厚い雲が広がっていた。
せめて星ひとつみつけられたら、少しでも気分が晴れそうだったのに。


