粉雪-3年後のクリスマス-


「ありがとな、ユキ」


 あれから収穫がないまま、二十四日を迎えた。


 結局、同期の面子なども考えて来てしまった俺。

彼女の待ち人が住んでいたという町に程近かい居酒屋前で、これから合コンだ。


 これでも待ち合わせ時間前に、近くの大学周辺を歩いてきたところだ。

もちろん、なにもわかることはないけれど。


「先輩から連絡きたら、優先していいから」


 同期はそれだけ言って、他の参加者たちの元へと戻る。



 俺は、朝から時間が迫っていることにうなだれていた。


『二十五日0時、大観覧車の下で』


 あの約束は、あと数時間後だ。

そんな内心とは裏腹にそわそわする社内で、退社前に先輩とばったりと会ってしまった。


あの告白を保留にしてからほとんど会話もできてなくて、突然の出来事に言葉を失う。


「…──なんかあったら、電話して?」

 決して、自分の欲を口にせず、先輩はただふと目を伏せて寂しげに笑っていた。


 俺という人間が、何をできるというのか。

罪悪感をまたひとつ、積み上げるだけだった。



 見上げた空は今にも雪が降りそうなほど、分厚い雲が広がっていた。

せめて星ひとつみつけられたら、少しでも気分が晴れそうだったのに。