粉雪-3年後のクリスマス-

 同期の気遣いは、嬉しい。

こんな情けない俺でも気にかけてくれる人がいる。


 ───ただ。

カノジョ一人、幸せにできず。

先輩の想いに、どこか他人事のようで。


彼女へと、何一つ辿りつけていないのに。



「……考えさせて」


 俺は、まだ迷っている。

後悔から抜け出せていない自分に、俺自身が愛想を尽かしてる。


くるりと背を向けて、俺は自分のデスクに向かった。


「ユキ、待ってるからな!」


 同期の声が、痛かった。


 その日も仕事終わりにあまりこない駅で降りる。

このあたりの大学、というと、二つに絞られるのだが、それ以上は情報がない。


ただ歩いて終わる。

……あのおばあさんに出会った以来、そんな日が続くことになってしまっていた。



 相変わらず会社では、後輩がミスをして俺が怒られて。

同期は本調子に戻り、先輩は相変わらず忙しそうで。


街並みも、キラキラとイルミネーションが一際輝いている。




 彼女はこの寒空の中、待ちわびるのだろうか。


この手に何も包むものがないからなのか、ぎゅっと握った拳をコートのポケットに突っ込み、震えそうなのを堪えた。




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