翌朝、冬にしては比較的暖かい日だった。
マフラーもお役ゴメン、といいたげな気候の中、昨日は小さかった背中を見つけた。
「よ、おはよ」
「ユキ……」
「………」
「………」
なんとなく、無言。
会社のビルへと続々と入っていく人ごみに紛れ、なにかかける言葉はないかと必死に探していた。
「こ、ないださ……牛丼、さんきゅな」
「ああ、ついでだよ」
照れくさかったので顔も見ず答えると、隣からはくすっと笑った声がする。
「あれから、なんか進んだか?」
いつもの調子を戻してきた同期が覗き込んでくる。
おそらく、紹介してくれた調査会社の話だろう。
「道のりは長いかな」
「はは、そっか」
同期には話してもいいのかもしれない。
けど、誰かに「なんでそんなことしてんの?」などと否定されたくもなくて。
間違い電話の彼女は、俺しか知らないのだから。
「…ユキ、お前さ」
「んん?」
エレベータホールに辿り着き、順番待ちをするときだった。
少し小声で顔を近づけてきたから、俺も同じように顔を近づける。
.
マフラーもお役ゴメン、といいたげな気候の中、昨日は小さかった背中を見つけた。
「よ、おはよ」
「ユキ……」
「………」
「………」
なんとなく、無言。
会社のビルへと続々と入っていく人ごみに紛れ、なにかかける言葉はないかと必死に探していた。
「こ、ないださ……牛丼、さんきゅな」
「ああ、ついでだよ」
照れくさかったので顔も見ず答えると、隣からはくすっと笑った声がする。
「あれから、なんか進んだか?」
いつもの調子を戻してきた同期が覗き込んでくる。
おそらく、紹介してくれた調査会社の話だろう。
「道のりは長いかな」
「はは、そっか」
同期には話してもいいのかもしれない。
けど、誰かに「なんでそんなことしてんの?」などと否定されたくもなくて。
間違い電話の彼女は、俺しか知らないのだから。
「…ユキ、お前さ」
「んん?」
エレベータホールに辿り着き、順番待ちをするときだった。
少し小声で顔を近づけてきたから、俺も同じように顔を近づける。
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