粉雪-3年後のクリスマス-

 情報は得られた。

小さすぎて、まだまだ彼女へとつながる道はせまいけれど……


 おばあさんは少し考えてから、ゆっくりと口を開く。


「ああ、小中さんね。少し前に引越しされたわねぇ」

 そうであってもおかしくはない。

それは覚悟していたが、出鼻をくじかれるとは幸先悪い。


だけどここで引き下がりたくはない。


「あの、引越し先とか知りませんか?」

「ごめんなさいね、そこまで仲のよいお付き合いではなかったので」

 おばあさんは申し訳なさそうに眉をひそめた。

「そう、ですか……」


 他にも聞くべきことはないだろうか。


一人内心焦っていると、目の前のおばあさんは「ああ」と、何かを思い出したように笑う。


「そういえば。息子さんが隣町の大学に通っていたと思いますよ」


「ほ、本当ですか!?」


 隣町の大学、といったら数は絞れる。

確か生年月日は聞いていたし、その年代をあたればどうにか彼女へと辿り着きそうだ。


 俺のすこしだけ晴れた顔を見て、おばあさんはまた嬉しそうに笑ってくれた。

わざわざ夜遅くても、こうして探しに来てよかった。


そう、思った。




 その夜は、久しぶりにカノジョのことも考えず眠れた。

まだまだ悩みは尽きないけれど、ほんの少し見えた兆しに、俺はどこか浮かれていたんだ。



.