「……放っておけないから、かな?」
それだけ言うと、ぴっと背筋を伸ばして背を向けた。
廊下の向こうで大人数の足跡が近づいてくる。
「ま、大いに悩みたまえ。青年!」
そそくさと歩き出した先輩に、俺は何もいえなくて。
じっとそれを見つめるしかできなかった。
結局、そのあとすぐに戻ってきた同期とは一日も話せず。
さらに先輩はずっと外出したままで、なにも進展はなかった。
お言葉に甘えて、大いに悩ませてもらっているところだ。
“使命”を果たしながら、だけど。
「このあたりのはず……」
調査会社から教えてもらった住所。
彼女の待ち人は、どこかにいるはずなんだ。
街灯が寂しく俺の影を長くし、きんと冷え切る冬風がより孤独にさせる。
「今日はあきらめようかなぁ」
残業を終わらせた後の人探しは困難を極める。
人通りも少ないし、周りはよくみえないし。
何にも繋がれない両手が、とても空しい。
──もし、先輩と付き合ったらそんなことはなくなるのだろうか。
きっとこの話をしたら、一緒に探してくれる気がする。
「…って、俺かなりサイテーじゃね?」
それくらい、胸の中はもやもやとしていた。
.
それだけ言うと、ぴっと背筋を伸ばして背を向けた。
廊下の向こうで大人数の足跡が近づいてくる。
「ま、大いに悩みたまえ。青年!」
そそくさと歩き出した先輩に、俺は何もいえなくて。
じっとそれを見つめるしかできなかった。
結局、そのあとすぐに戻ってきた同期とは一日も話せず。
さらに先輩はずっと外出したままで、なにも進展はなかった。
お言葉に甘えて、大いに悩ませてもらっているところだ。
“使命”を果たしながら、だけど。
「このあたりのはず……」
調査会社から教えてもらった住所。
彼女の待ち人は、どこかにいるはずなんだ。
街灯が寂しく俺の影を長くし、きんと冷え切る冬風がより孤独にさせる。
「今日はあきらめようかなぁ」
残業を終わらせた後の人探しは困難を極める。
人通りも少ないし、周りはよくみえないし。
何にも繋がれない両手が、とても空しい。
──もし、先輩と付き合ったらそんなことはなくなるのだろうか。
きっとこの話をしたら、一緒に探してくれる気がする。
「…って、俺かなりサイテーじゃね?」
それくらい、胸の中はもやもやとしていた。
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