月と太陽の事件簿10/争いの樹の下で

すると達郎は灰色を赤に向かって、思い切り突き飛ばした。

勢いそのままにぶつかった2人は、共に地面に倒れ込んだ。

「この野郎!」

青いニットキャップの男が殴りかかってきた。

達郎はその手を取ると、相手の右側に回り、襟をつかんだ。

そのまま振り回すようにすると、青色はバランスを崩して地面に腹這いになった。

そして達郎は、つかんだままの青色の右腕を、一気に絞りあげた。

「うわぁ!!」

青色は右腕に走る痛みに絶叫した。

「この野郎、放せ!」

灰色が達郎に飛び掛からんとしたその時、その顔面に強烈な右ストレートが叩き込まれた。

その威力に、灰色は2メートル近く吹き飛んだ。

「まったく、チンピラ風情が市民の憩いの場で騒ぐんじゃないわよ」

右ストレートの主は女性だった。

深紅のトレーナーにジーンズ、エプロン姿。

セリフと右ストレートからは想像もつかない、切れ長の目が印象的な美人だった。