達郎は秀昭から教わった4人のプロフィールを頭に思い浮かべた。

江川順一は4人の中で一番の秀才で、成績は学年でもトップ。

父親は多数の著書を持つ国立大の医学部長で、本人も医学の道を志している。

馬場武彦の父親は海外で活躍する高名な建築家。

父の仕事の都合で幼い頃から世界を見て回っており、グローバルな視点で物を言う、4人の中のムードメーカーだそうだ。

椎名義和は経済評論家の父の影響で株取引に精通、天才少年トレーダーとして、業界では有名人らしい。

天堂貴裕の両親は某交響楽団に所属する音楽家。

本人もピアニストとして数々のコンクールで入賞している。

端正なルックスとあいまって、女生徒にも人気があるという。

ニコチンが塗られたジュースに口をつけたのは馬場であった。

幸いというか、軽い嘔吐を繰り返しただけで、入院は一晩で済んだ。

今は体調も回復し、何事もなかったかのように過ごしている。