達郎は眉をひそめた。

「もしかしてうちの学校で起きた事件のこと?」

「その通りだ」

「なんかそんな予感はしてたんだ」

「察しがいいな」

「兄さんの班が捜査担当してるって、婆ちゃんが言ってたから」

「それなら話は早いな」

先月のことである。

達郎の通う私立S高校で奇妙な事件が起きた。

事件に関わったのは、いずれも3年生の男子生徒4人。

生徒たちは放課後にバスケをした後、校内の自動販売機にて同じジュースを買った。

各々がジュースを手に取り、口をつけた次の瞬間、4人のうちのひとりがジュースを吐き出した。

男子生徒は吐き気を訴え、すぐに病院に搬送された。

幸い大事には至らず、入院は一晩だけで済んだ。

学校と病院からの通報を受け、警察が調べたところ、ジュースの缶の飲み口からニコチンが検出された。

何者かがジュースの飲み口にニコチンを塗ったのは明白だった。