―葵side―
『そうか・・・小春は居なかったか・・・』
『はい・・・すみません・・・』
私は申し訳なさそうに下を向きながら呟く
太陽は既に姿を隠し、辺りはもうすぐ星が見える夜になろうとしていた
『あなたが謝る事じゃないだろう・・・さぁ、家に入ってくれ・・・晩ご飯だよ』
優しく微笑む村長さん・・・でも・・・笑顔の奥には切なさがある
私は胸が締め付けられる様な衝動に駆られた
小春ちゃん・・・・・・・・・
握り締めた拳からは悔しさが滲み出る
会いたいよ・・・・・・
『入りましょう・・・葵様・・・』
不意に私の顔を心配そうに覗き込んだ八神くん・・・・・・
・・・・・・また、心配を掛けちゃった・・・
私はぎゅっと目を閉じ、心を入れ替える
大丈夫・・・っ!
小春ちゃんはきっと見つかる・・・!
今、一番不安なのは小春ちゃんなんだ・・・・・・
私がこんな弱気でどうする・・・!!
私は一歩踏み出して、家の中に入ろうとした
私達は玄関の外で話していた為、夜風が冷たく吹き付ける
『さぁ、入ろう・・・!』
後ろに居る佐助達に言う為、私は振り返る
そして・・・言葉を発した瞬間に視線の先に見えたもの・・・・・・
時が止まる
風が止む
心の奥から・・・何かが吹き上げて来る・・・・・・
『小春っ・・・ちゃん・・・?』
ずっと会いたかった・・・・・・
本気で心配した・・・・・・
小春ちゃんが・・・今、そこに居る


