いつの間にか凛子は男の傍に
引き寄せられていた。

「人間の女が手に入らないから
ヴァンパイアの女を狩って
楽しむんだよ」

あの恐怖に歪む顔が
サイコーだぜ…、その光景を
思い出しながら男は
1人笑い続ける。

悪趣味な男を冷めた目で見ながら
好きにしろ、と櫂斗は言った。

ただし、と言葉を切ると
赤く染まった瞳を男に向ける。

「写真の女に触れてみろ、
命はないと思え」


言い捨てると凛子を置いて
櫂斗は部屋を出た。


悪趣味な男だが、腕はある。


カーテンで光を遮られた
薄暗い廊下を歩きながら櫂斗は
口元に笑みを浮かべた。