「前に襲いかかってきたのは
あんたでしょ」

ムッとした口調で言って洗い物に
目を戻した玲の背中を睨んだ。

あぁ、そうだったな。と
軽い感じに玲は話す。
もういいけどと小さく笑った。

あの時の恐怖を思うと
さらに棗は腹が立った。

「自分勝手な人」

否定はしないよ、と玲は目を
伏せて笑った。

「…なんで気が変わったの?」

洗い物を終えた玲は改めて
棗を見た。

「もう必要ないだろ」

棗の髪に手を伸ばして
指を絡める。

「俺の手の届くところに
置いとくから」

髪にそっとキスをしながら
上目遣いに棗を見ると
不機嫌そうに自分を睨んでくる。

「物みたいに言わないで」

微かに笑って玲は髪から
手を離す。

「あんたを物と思ったことは
一度もないよ」

冷蔵庫からプリンを出して
いる?と聞いた。