なんでその２択なんだと聞くと、
いつもとタイプが違うから、と
樋野は答えた。

「…どっちだと思う？」

玲が聞くとその質問を
予想していたかのように
樋野は笑って前者、と言った。
玲にとっては予想外で
思わずなんで？と聞き返す。

樋野がなんとなく、と答えると
またそれか！と玲は少し
イライラして言った。
はっきり言えよと続きを促す。
樋野は渋々と口を開いた。

「相手にされてないうえに
婚約者持ちの西園寺に
本気になったらおもしろいから」

言えと言ったものの玲は途端に
不機嫌な顔つきになる。
爽やかな顔をして樋野は時々
毒を吐く。
悪かったな、相手にされてなくて
と頭の中でぼやいた。

顔をしかめた玲に樋野は
肩を竦めた。
だから黙ってたのに、と思う。

「どうせ遊びでしょ？」

樋野の言葉に玲は
当たり前だろ、と言うと
その場を後にした。