『正』の字の横には、『中国』とか『フランス』とか『オランダ』とか『ロンドン』とか、国の名前が、メチャクチャな順番で書かれていた。


 『ロンドン』は国じゃねーし。


 俺はそのメモ書きにつっこんだ。


 最後の途中書きの『正』の字の横には、吹き出しが付いていて、その中に


 『もうすぐ世界一周!!』


 と書かれていた。


 『はやっ。たいして国周ってねーし』


 また俺はツッコミを入れた。


「あの人…よく国家試験受かったなぁ…。」


 俺は思わず声に出して呟いた。


 何気にその紙を裏返して、すぐまた表に戻した。


 が、裏に何か書いてあったので、ゆっくりまた裏返した。


 紙の右下に、適度な筆圧で丁寧に書かれた一文があった。









 『あなたの笑った数だけ

         私の幸せがある』