それから私達は、他愛もない話をして、盛り上がっていた。
先輩のサッカーに対する情熱とか、先輩の家族の話とか、先輩の学校での生活とか…
先輩の話を、いっぱい聞けた。
だけど、夢の時間はあっという間で、自分の家が見えてきた。
そこで私はあることを思いだし、立ち止まった。
「どうしたの?瑠華ちゃん…」
「先輩、ここで大丈夫です!!」
「え?でも…瑠華ちゃんの両親にはきちんと謝らなきゃ」
「だ、大丈夫です!!」
「だけど…」
夢に浸りすぎて、家には刹那さんが居るのを忘れていた。
先輩にバレちゃたら、変な誤解されちゃう…。
「すぐそこなので、本当に大丈夫です!!」
「そう?」
「はい!今日はありがとうございました!楽しかったです!!」
「うん、俺も!また、部活にも遊びに来なよ」
「はい!!」
そして私は、先輩に一礼して、家の前まで小走りした。
後ろを振り返り、先輩が帰っていく姿を、ちょっとだけ見送った。
そして、門を開け、一呼吸おいて玄関をあけた。
「よし…」



