私、海が見たい


喫茶店の駐車場で、車をはさんで、
恵子と中村が立って、屋根越しに話す。

冷たい風が、恵子の髪を乱していた。

「どこへ行くの?」


恵子が、髪を掻き揚げながら、訊いた。

「そやなぁ。 向こうの海岸沿いに
 お寺みたいなのがあって、
 仁王様の代わりに関取が
 立っている所があるから、
 そこへ行ってみようか」


「どうして関取なの?」


「さあ、なんでやろう。
 昔その辺出身の横綱でもいたから
 じゃないんかな」


「そうなの?おもしろそうね」 


車に乗り込む二人。

車が出て行く。