「……ありがと。あたし、乗り越えてみる。勇気、出してみる」
「まぁ、頑張ってみなよ」
彼はあたしから視界を外して空を見た。
桜と共に視界に映る雲一つない青空が、なんだかあたしを応援してくれてるように思えて。
今なら大丈夫なような気がして。
あたしは駆け出した。
でもそう簡単に先輩と会えるはずもなく、とりあえずうろちょろしていると、あたしを呼ぶ声が聞こえた。
「春〜!」
振り向くと、見慣れた顔が近付いてくる。
「お兄ちゃん!どうしたの?」
冬お兄ちゃん。
まぁ、そのままあたしの兄で、卯月先輩と同じクラスなんだ。



