「やっぱり貴女がTUBASAだったのね」

 「星野さん……」

 忘れていた。
 メディアのスパイが此処にいたんだった。

 ま、TUBASAが百合愛にいると分かれば高感度アップは間違いないわね。

 それを計算されて、此処へ転入されたわけだし。

 「此処はアルバイト禁止なの知っているわよね」

 「え、えぇ」

 アルバイトじゃなくて正式な契約なんだけどなぁ。

 それに、此処事務所の人が勝手に転入手続きしたわけだしぃ。

 「私、校長に報告してくるから。それとメディアにもね」

 「どうぞ」

 それで退学になるなら、それでも構わない。

 ただ、今退学になったら卒業まであと少しなのに勿体ないなぁ。

 4年間だけでも、誰も出来ないような貴重な体験をしてきたわけだし。

 ま、いいっか。
 
 「翼、あんな事言って大丈夫なの?」
 「そうよ。あんなスパイ女に言われっぱなしなんて」
 「ごめんなさい、私たち貴女を守るって言ったのに」

 「平気よ。ありがとう」

 このくらいでしおれる翼様ではございません。

 此処まで上り詰める為に、ありとあらゆる努力をしてきたのだから。

 数日後呼びだされた。

 覚悟を決め、学院の聖域とも呼ばれる校長室の扉を潜り抜けた。

 予想していた事態は起きず、私はこの学院で残留する事になった。

 星野さんが本当に校長と話したのかは謎のまま。

 しかし、一難去ってまた一難が待ち受けていようとは──。