しかし、噂っていうのは怖いくらい流れが早い。

 クラスだけでなく、学校中から注目を浴びるようになった。

 4年間バレずにすんだのが不思議なくらいだよ。

 「葛上さんってTUBASAちゃんと同じ名前よね」

 そりゃ、私だし。

 「この学院にあなたが来た時期とTUBASAちゃんが売れ出したのも同じ時期ね」

 「それは、ぐ、偶然ね」

 「偶然? 必然でしょ?」
 「やっぱり葛上さんがTUBASAちゃんなの? 似てると思っていたのよ」

 ハハハ……。
 頬がひきつりうまく笑う事もできない。

 騙し通せるのも此処までか。

 俺は助けを求めるように、梨乃に顔をむけた。

 「バレちゃったわね。そうよ、翼がTUBASAちゃんよ♪」

 ……裏切り者!!

 「槇原さん、人が悪いなぁ」
 「そうよ。情報は共有しないと」

 「別に。今まで聞かれなかったし。それに、翼はアタシにとっては、大切な友達には変わらないもの」

 ま、活動しているのがバレたところで問題はないけどね。

 私が性を偽っていることがこのクラスの人に、この学校中に知れ渡ることの方が、大問題のような気がする。

 「私たち、あなたの味方よ」
 「そうよ、メディアの人なんか追っ払ってあげますわ」

 なんか、感動!!

 「ありがとう。それから黙っていてごめんなさい」

 本当の俺を曝け出せなくてごめんなさい。