今までは、学校の人たちに例の活動をしていること、バレていなかったらしい。

 ところが、この間の文化祭でミスコンもどきをしたの。

 此処に通っている以上、私も一番になろうと思ってね。

 普段は化粧なんかしないのに、その日だけと思って、教えられたメイクをしてステージにたったのが間違いだったわ。

 「ねぇ、TUBASAちゃんよ」
 「やっぱり可愛いわね」
 「でもどうして我が学院に?」

 体育館に響く噂声。

 ヤバイ!!

 出番が終わり、トイレに駆け込んで化粧を慌てて落としたんだけど……。

 TUBASAに成りきったままでいればよかったわね。

 「TUBASAちゃん、あの……、葛上さん?」

 「あら、星野さんそんなに息を切らしてどいしたの?」

 「大変よ、今TUBASAちゃんがこの個室に入るのを見たの」

 えっ!?

 「変ね。誰も来ていないわよ」

 「そんな筈はないわ。体育館から私追いかけて来たんですもの」
 
 付けられていた?。

 仕方がない。

 「星野さん、実は彼女に頼まれたの。匿って欲しいって。だから──」

 「いいわ。隠し通せるならやってみなさい。私、必ずTUBASAちゃんの正体を捕まえるんだから」

 彼女はジャーナリストを夢見て、学校中の有りとあらゆる情報を手にしている。

 聖女ってお嬢様ばかりかと思っていたけど、こういう個性的な人たちも多く見られる。

 そして、彼女とメディア各社が手を結んだものだから、マスコミの人たちが毎日押し掛けてくるわけ。

 学校側は「我が学院にメディアを騒がせる人はおりません」と言い切ってくれている。

 ありがたいやら悲しいやら。

 私的には、いっその事、全てを曝け出してしまいたい。

 そしたら、コソコソしないで済むし。

 でも、それをしてしまったら、トップから一気に落胆するのは見えている。

 それはそれで困るわけで。

 ま、脱ぐわけじゃないからね。

 もう少し、世間様を騙し通して見せますか。

 この安易な考えが、俺を更に悩ませる事になろうとは──。