「ところで、学校は何処行っているの?」

 「公立北中」

 「うーん、悪いけど転校してもらうよ。

 両親の方への説明と段取りはこちらでとらせてもらう。

 細かい事が決まったらまた連絡するよ。

 君の住所と電話番号だけ控えさせてくれないか」

 「あ、はい」

 なんだかよく分からねぇけど、楽しそうだし、いいっか。


 半月程して荷物が届いた。

 夏休み明けから通う事になった、学校の教材と制服など。

 手回しいいな。

 母親達の様子がいつもと違う。

 暫くは寮住まいになるから、こんな俺でも少しは淋しく想ってくれているなんて、嬉しいぜ。

 ちょっと観照に浸っていると険しい声が飛んできた。

 「いいかい翼、よく聞くんだよ!!」

 「何?」

 「絶対にトップになっておくれ。その為に今までのお前を捨てるんだよ」

 スカウトされただけで、何でそこまでの覚悟をしなきゃならないんだ!?

 もっと、気楽にやりてぇんだけど。

 なんて思いながら入学案内書に目を移した。


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拝啓 

葛上 翼様

向日葵が咲き誇れる季節となりました。
その後お変わりはありませんか?

さて、この度は我が学院に編入されるとのこと、誠にありがとうございます。
私は校長を勤める長谷 銀花(はせ ぎんか)と申します。
  
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中略

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長くなりましたが、私共皆貴方と会えることを楽しみにしております。
楽しい夏休みに申し訳ありませんが、近日中に我が校に足を運んでくださる様お願い致します。

敬具

聖百合愛学院校長 長谷 銀花

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 俺の目が可笑しくなったのだろうか?

 それとも何かの間違いなのか?

 間違いであって欲しい想いに、もう一度署名の欄を見る。

 でも、確かに『聖百合愛学院』(セイ.ユリア)と書いてある。

 ご丁寧に、『葛上 翼様』とまで書いてある。

 う、嘘だぁぁぁぁぁ!!