【銀】Fake☆鏡よカガミ


 「彼女は貴方の良く知っている人よ」

 「えっ!?」

 外国人の知り合いなんていないわ。

 「翼、どれだけの付き合いしてんのよ!私よ、梨乃!!」

 ……嘘。

 どっからどう見たって外国人にしか見えないし。

 「ま、私の腕に掛かればこんなもの朝飯前よ」

 木崎さん、貴女はいつからスタイリストになったんですか?

 それだけの腕持っているなら、私を変えて欲しかったわ。

 「………」

 「これなら、彼女が槇原 梨乃さんだってバレないでしょ? つまり、学校も退学にならない」

 それは安心よ。

 だからって、何で外国人なわけ?

 「シルビアとしてヨロシクネ」

 イタズラ好きの少女のようにはしゃぎ出した梨乃であった。

 何か間違った方向に行っていないだろうか?

 そして、私たちは高校生がこんなに豪華な食事をしてもいいのだろうか? 

 というくらい、テーブルいっぱいに並べられた料理たちに箸をすすめていった。



 翌朝早く、まだ他のお客様が見えていない時間から撮影は始まった。

 梨乃は、シルビアになりきって大張り切り。

 NGも少なく順調に事が運ばれている。

 そして、問題のシーンがやってきた。

 梨乃には未だ言っていない。

 「あ、あのさ」

 「私は暫くオフよね。邪魔にならないように見ているわね」

 「待って」

 「何よ」

 正直に言ったら帰っちゃうよな。

 ……でも。

 「梨乃に代役をお願いしたいの」

 「何言っているのよ、翼のような演技力はないのよ」

 「ただ座っていてくれてればいい」

 断られない事を、唯々祈るばかり。

 心臓が破裂しそうなほどバクバクしている。

 「それだけでいいの?」

 コクリと黙ったまま頷いた。



 「此処で?」

 「そう、此処で」

 大浴場の赤い暖簾の前に来て、初めて打ち明ける決心した。

 「そういうことね」

 「……ごめん」

 「いいわ。その代わり条件があるの──」