「今日は撮影はないから、ゆっくり寛いでね」

 いつもに増して不気味なほど優しい顔をするマネージャー。

 こういう時って何か裏がある。

 伊達に観察していないんだから。

 「なんだか、私まで厚かましくてスミマセン」

 「何言っているの。ツバサが連れて来たんだから、期待してるわよ」

 「あ、はい」

 「貴女、ツバさと同じ学校よね?」

 急に真剣な顔つきになり腕組みしはじめた。

 何か問題でもあったかな。

 「バイト……禁止よね?」

 「ええ」

 忘れてた。

 バレたらまた、星野が大騒ぎするな。

 「ちょっと来て」

 木崎さんは梨乃だけを連れて、別室に行ってしまった。



 小一時間くらい経ったのだろうか。

 静かに部屋の扉がノックされた。

 「どうぞ~」

 マネージャーや梨乃なら、勝手に入って来るだろうし……。

 開いた扉の先には──。

 「なぁんだ、マネージャー……?」

 ……と、誰?

 見知らぬ女性がいる。

 あれ? 梨乃は何処いったんだ?

 「彼女は、シルビアよ。仲良くしてね」

 「はぁ」

 仲良くって言ってもねぇ、私英語だけは苦手なのよ。

 他の科目はそこそこなんだけどね。

 「どうやら、大成功のようね」

 「何が?」

 訳が分からない。

 もったいぶらないで、早く教えなさいよ!