「ユーヤ、調子はどう?」


この日もあたしはユーヤの病院に足を運んでいた。


「あれ?今日って大学の入学式じゃ……」


「そうだけど、何で?」


「いや、そんな大事な日にまで来てもらって悪いなぁって……」


「いいんだって。今はユーヤの方が大切だもん」


パイプ椅子に腰掛けるあたしを上から下まで舐めるように見つめた後、ユーヤは微笑んだ。


「スーツ姿ってなんか新鮮ですね。よく似合ってますよ」


「べ、別に似合ってなんかいないけどさ」


ユーヤのストレートな言葉に少しだけ照れくささを感じてあたしは足元に視線を移した。