「……陽……」


何て声をかけたらいいのか分からずにいると、陽はおもむろにベンチから立ち上がった。


そして手の平で涙を拭うと、あたしのふとももの上に何かをポンッと乗せた。


「優也の目が覚めたらこれを渡してくれ」


「これ……」


茶色い封筒の中にはたくさんの万札がおさめられていた。


「この金はもともと優也が稼いだ金だ。残りの入院費は俺が払う」


「でも……仕事……」


「先週から始めた」


「よかった……ね?」


きっとユーヤも喜ぶよ。


そんな意味を込めてそう言うと、陽はあたしの目を真っ直ぐ見つめた。