病院の敷地内にあるベンチに腰掛けて陽の言葉を待つ。 少しの間が、一分にもそれ以上にも感じられた。 「……悪かったな」 口を開いた陽から出たその言葉。 その声は少しだけ震えていた気がした。 「あたしに謝らないで。謝る相手が違うでしょ」 「それもそうだな……」 そう言ってポケットの中から煙草を取り出した陽。 でもすぐにポケットに戻すと陽は膝の上で握りしめている手に視線を落とした。