3階の306号室。 もう何度この病室に足を運んだだろう。 【木下優也】 病室の前のプレートを確認せずに、窓際のベッドに眠るユーヤにゆっくりと近付いていく。 「ユーヤ、今日はすごい天気がいいんだよ?見える?」 ベッド脇のパイプ椅子を開き、そこに腰掛けながらユーヤに話し掛ける。 返事がなくてもいい。 ただ、声を掛け続けることに意味がある気がした。