「どうしてアリサ先輩を殴ったんだ……どうして傷付けるようなことするんだよ!」 目の前で繰り広げられる兄弟喧嘩をはるかに超えた取っ組み合いの喧嘩にあたしは体を硬直させた。 陽に殴られ床に転がるユーヤ。 それでも負けじと陽の足にしがみつくユーヤ。 こんなユーヤの姿を見るのは初めてで。 ユーヤは今までためていた悲しみや辛さや切なさの全て陽にぶつけているような気がした。 互いに口の端が切れポタポタと床に赤い染みを作っていく。 それでも二人は動きを止めようとはしない。