「……帰ってください」


リビングに入ると、ユーヤはソファから立ち上がりあたしの腕を掴んだ。


「送っていきますから」


首をぶんぶんと横に振るあたしにユーヤは明らかにうろたえていた。


「アリサも座れよ?」


あたしたちのやり取りを見ていた陽は、クスッと笑いながらソファを指差す。


その瞬間、テーブルの上に置かれた数十枚の札束が視界に飛び込んできた。



「……そのお金……」


無造作に置かれた一万円札を見ながらそう呟くと、陽は札束を手に取りニヤリと笑った。