「……もしもし?」

5コール目で電話口から耳に届いた懐かしいユーヤの声はどこか力を感じなかった。


「……あたしのこと分かる?」


「分かりますよ」


ユーヤがそう呟くように言った後、電話口の向こうで男の声がした。


その声に聞き覚えのあったあたしは思わず顔をしかめる。


「陽と一緒にいるの……?」


「いえ……違い……」


ユーヤがそう言いかけた瞬間、「アリサか?今からうちに来いよ」そんな陽の冷たい声を最後に電話はプツリと切れた。