「お母さん、話がある」


階段を降り部屋に向かうと、あたしはすぐさまリビングのソファに座っていた母に声を掛けた。


「話って何かしら?」


「あたし、やっぱりこっちに残るから」


ユーヤへの想いを残したまま九州に行くことなんてできない。


もう後悔したくない。


ユーヤの腕を振り払った時の後悔はきっと一生忘れない。


「……そう。アリサはそう言うと思っていたわ。進路は決めたの?」


「週明け進路相談があるから、先生と話し合ってみる」


「分かったわ。お母さんは少しだけ寂しいけど……頑張るのよ?」


「うん!」


母に背中を押され決心の固まったあたしは大きく頷いた。