「先輩、今ちょっといいですか?」


「悪いけどあたし急用があって、今すぐ帰らなきゃいけないの」


放課後になりあたしは震える手を抑え、教科書を鞄の中に押し込んでいた。


「今日見ました。先輩が校門のところで男と一緒にいるの」


「……そう。それで?」


ユーヤに目もくれず帰り支度を続けるあたしの腕を、ユーヤがパッと掴んだ。