いつもだったら手を繋いでくれるのに。 今日は右手がやけに寂しくて。 左手に持っているケーキの箱が妙に重たくて。 あたしは結局ユーヤにケーキを渡すことすら出来なかった。 「じゃあ……また」 「……うん。送ってくれてありがとう」 携帯の入ったバッグをひったくられて連絡がつかないこと。 それだけをなんとか伝えあたしは家の前でユーヤと別れた。