「ご迷惑をおかけしました」 「いえ、娘さんの所持品が見つかりましたらまたご連絡をいたします」 「はい。本当にすみません。よろしくお願いします」 交番にやってきた母は警官にペコペコと何度も頭を下げた。 ひったくられたのはあたしだよ? 加害者じゃなくて被害者だ。 あたしは心の中で毒づいた。 「アリサ、怪我はないの?」 「あのさあたし今から行く場所あるから先帰って?」 交番を出て軽自動車に乗り込もうとする母にそう言う。