「ユーヤ、もういこ?ねっ?」 いつも温厚なはずのユーヤが怒っている。 出来れば駅前の人通りが多いこの場所での揉め事は避けたい。 そんなことにでもなればせっかくのデートが台無しだ。 慌ててユーヤの手を掴もうとした瞬間、ユーヤは右手で男の胸ぐらを掴んだ。 「二度とアリサに手出すな。次見つけたらただじゃおかない」 低い声で呟くようにそう言うと、ユーヤはあたしの手を掴んで男の横を通り過ぎた。