その時、僅かに開いた扉から部屋の中が見えた。 生活感の全くない閑散とした室内。 「あ、あのさ……」 人の気が感じられず、あたしは思わずユーヤを呼びとめていた。 「今……お母さんいるの?」 ユーヤにとって触れられたくない部分かもしれない。 ユーヤが母子家庭であると、あたしはアヤから聞いていた。 でもそう聞かずにはいられなかった。